第三世界の成長のシナリオ 2
これはメキシコに、いまだ近代資本主義の契約の観念が希薄なためにほかなりません。
かりに50ペソで仕入れたものなら、その原価に諸経費と適正利潤を加え、適正価格で売るというのが近代資本主義の精神。
しかし、彼らは50ペソの商品が1000ペソで売れれば、950ペソ儲かった、それでいいのだとするのです。
その後のビジネスの信用のことなど眼中にありません。
まったく一発屋的なメンタリティなのです。
年率80%にものぼるインフレという事情があるにしても、やはり、そこに適正価格という発想がないためでしょう。
こうした事情はメキシコに限らず、どこのラテン・アメリカ諸国でも似たりよったりですが、それは、ラテン・アメリカが長いあいだスペイン、ポルトガルの植民地であったためにほかなりません。
スペイン的な植民地の特徴は、農奴制経済にあります。
それは、プランテーションの下で徹底した単品農業をおこない、バナナやココナツ、香料などの単品をタダ同然の労働力で生産し、そこからあがる利益をことごとく本国へ収奪します。
また、植民地の鉱山から産出する金、銀などもことごとく本国スペインにもっていってしまう経営方式なのです。