第三世界の成長のシナリオ 5
こうした状況下では、救いがたい植民地根性、奴隷根性が醸成されていきます。
植民地の被支配民は、社会的に上位の人間におもね、ウソをつき、いかにくすね取って暮らすかだけを問題とします。
しかも、きわめて投機的に一発勝負でもうけ、運よくもうかったとしても、それを建設的に投資して、さらに利潤をあげようという発想は生まれません。
実際にこのような環境の下で商生き残るには、徹底的なサボタージュと言いわけという名のウソを使いわけてサバイバルするしかないのです。
植民地の農奴は、「真面目に一生懸命働けば、明日は必ずよくなる」などというメンタリティでは、生き残ることはできません。
働けば働いたぶんだけ収奪されるのだから、働くほどソンすることになるのです。
いや、それどころか、それだけ疲労して死期を早めるだけなのです。
有能であることが報いられず、むしろ弾圧の対象となる社会では、大多数の人々はおのずと怠け者になります。
日本の江戸時代は、たしかに封建的な収奪が厳しかったかもしれませんが、スペインの植民地のように、いくら働いて生産性を上げても、それが利益につながらないということはありませんでした。
労働は過酷であったかもしれないですが、農民は、工夫をこらし、勤勉に労働することによって、少しずつでも収益を上げることができました。
そうであるがゆえに、江戸時代の日本の農業の生産性は、同時代では奇跡的ともいえるほど高かったのです。